タッパム(鶏の蒸し煮)の作り方:ツルドクダミ(何首烏)ではなくクコの実を選んだ理由と山薬(長芋)の薬膳レシピ
薬膳タッパム(鶏の煮込み・蒸し煮)には、体に良いとされる材料をたくさん詰め込まなければならないのでしょうか。今月の献立企画では、当初ツルドクダミ(何首烏/ハスオ)が入っていました。しかし、日常的に食べるタッパムには、食品として入手しやすく味覚の変化も予想しやすいクコの実(クギジャ)のほうが適していると判断しました。
そのため、今回のタッパムの作り方では何首烏を外し、クコの実と「山薬(サンヤク)」と呼ばれる長芋(ヤマイモ)を合わせました。赤いクの実はほのかな甘みと彩りを添え、長芋はひたひたの煮汁にしっとりと柔らかな質感をもたらします。何を足したかと同じくらい、「何を、なぜ外したのか」についても一緒に見ていきましょう。
一日中画面を見つめた後の夕暮れ時は、夕食の献立を決めることすら手間に感じられるものです。そんなとき、3つの食材をひとつの鍋で煮込めば、見た目にも温かく、ご飯と共にするりと食べやすい一皿が完成します。
今回ご紹介するメニューは「クコの実と山薬のタッパム」です。山薬とは、私たちが普段の食卓で親しんでいる長芋を指します。特別な滋養強壮薬を煎じるような手法ではなく、家庭で一般の食品として買い求め、ひとつの食事として美味しく調理することに焦点を当てました。
このタッパムが「薬膳料理」である理由
薬膳料理とは、体に良いとされる素材をただやみくもに多く入れる料理ではありません。季節や食事を摂る目的を考え、食材の持つ性質、味、調理法がひとつの食事の中で無理なく調和するように組み立てる料理です。
このレシピでは、鶏肉を主材料に据え、山薬(長芋)を合わせることでホクホクとした柔らかい食感を生み出します。クコの実は少量のみ加えて、色合いと控えめな甘みを補います。香りの強い生薬を何種類も混ぜ合わせるのではなく、3つの食材の役割が互いに重なり合わないよう整理した点が最大のポイントです。
もうひとつの薬膳の調理原則は、「毎日食べ続けられること」です。過度に濃厚だったり、甘すぎたり塩辛すぎたりすることなく、ご飯と一緒に食べやすい汁気のあるタッパムに仕上げます。薬のように義務感で食べる料理ではなく、食卓で無理なく楽しめる一品を提案することが「薬膳食卓」の目指す方向性です。
ひと目でわかる調理情報
- 分量: 2人分
- 準備時間: 約10分
- 加熱時間: 約20〜25分
- 味の特徴: 塩辛くなく淡白で、クコの実のほのかな甘みが余韻に残る味わい
- 調理の要点: 鶏肉を先に煮て、長芋とクコの実は後から加える
何首烏(ツルドクダミ)ではなくクコの実を選んだ理由
クコの実と山薬は、古くから韓国の食文化においてお茶や粥、スープ(湯)、煮込み(蒸し煮)などに広く活用されてきた食材です。今回の素材変更は、何首烏とクコの実の効能が同一であるという意味ではありません。家庭料理としてのタッパムにおける味、購入のしやすさ、調理の実用性を考慮して食材を選び直した結果です。
何首烏のように薬としての性質が強い素材を家庭で自己判断で調合するよりも、食品用として市販されているクコの実を少量使うほうが、品質の確認や分量の調節が容易です。白い長芋と鶏肉の間に赤い色合いが美しく映え、その優しい甘みは醤油ベースの味付けとも自然になじみます。
長芋は煮汁にしっとりとした質感を与えます。クコの実は「多ければ多いほど良い」とは考えず、鶏肉本来の旨味を覆い隠さない程度に控えめに用います。多種多様な生薬を足し算する代わりに、個々の食材が味や調理において果たす役割を明確に構成しました。
2人分の材料
- 骨なし鶏もも肉: 350g
- 食用長芋(山薬): 150g
- 食品用乾燥クコの実: 5g
- 長ねぎ: 20g
- おろしにんにく: 小さじ1
- 醤油: 大さじ1
- 水: 200mL
- ごま油: 小さじ1
*※クコの実と長芋は、食品用として販売されているものをお使いください。製品パッケージに洗浄や下ごしらえの指示がある場合は、その方法を優先してください。*
クコの実と山薬のタッパムの作り方
1. 食材の下ごしらえ
長芋は皮をむく際にかゆみが生じることがあるため、調理用手袋を着用して皮をむき、約2cmの厚さに切ります。鶏肉は一口大に切り、長ねぎは斜め切りにします。生の鶏肉は水で洗わず、触れた手や使用した包丁・まな板をすぐに洗浄・消毒してください。
2. 鶏肉を先に煮る
鍋に水200mL、醤油、おろしにんにく、鶏肉を入れて火にかけます。煮立ち始めたら火を弱中火に落とし、蓋をします。
3. 長芋とクコの実を加える
鶏肉の表面に火が通って白くなったら、長芋と用意したクコの実を加えます。煮汁が早く煮詰まりすぎる場合は水を少量ずつ足し、長芋が崩れないよう激しくかき混ぜないようにします。
4. 中までじっくり火を通す
さらに約15〜20分煮込み、鶏肉の最も厚い部分を確認します。食品用温度計がある場合は、中心温度が74℃以上に達していることを確認してください。長芋に竹串や箸がスッと入るようになったら長ねぎを加え、ひと煮立ちさせます。
5. 香りを添えて仕上げる
火を止め、ごま油を回し入れて軽く混ぜ合わせます。最初から濃い味付けにせず、最後に煮汁の味見をして、足りない塩気だけをほんの少し補ってください。
より美味しく食べるためのコツ
煮汁をやや多めのひたひた加減に残すと、ご飯にかけて楽しむのに最適です。長芋のホクホクとした食感を残したい場合は、あまり細かく切りすぎないようにしましょう。甘みを加えようと水飴や砂糖を多量に入れる前に、クコの実と長芋から自然に溶け出すほのかな甘みを感じてみてください。
盛り付ける際は、鶏肉、白い長芋、赤いクの実がバランスよく見えるよう平皿や浅鉢を使うのがおすすめです。仕上げに緑の長ねぎをあしらうと、色彩のコントラストがより鮮やかになります。
作りながらよくある質問
長芋が煮汁の中で崩れてしまうときは?
長芋を小さく切りすぎたり、最初から鶏肉と一緒に煮始めたりすると煮崩れしやすくなります。約2cm大に切り、鶏肉の表面に火が通った段階で投入してください。お玉や菜箸で強くかき混ぜるより、鍋の取っ手を持って軽く揺するようにして煮汁を行き渡らせるのがコツです。
煮汁が塩辛くなりすぎたら?
醤油は最初から多く入れないようにしましょう。もし濃くなりすぎた場合は、水を少し足してひと煮立ちさせ、再度味を確認します。ご飯と合わせる前提であっても、煮汁を煮詰めすぎると塩味が急激に強くなるため注意が必要です。
クの実をたくさん入れたほうが美味しくなりますか?
クの実を入れすぎると、特有の甘みと酸味、風味が前面に出すぎて鶏肉の旨味を消してしまいます。最初は2人分に対して5g程度から試し、次回以降にお好みに応じて微調整することをおすすめします。
海外の食卓に届けるなら
山薬(長芋)は地域によって「Chinese yam」や「nagaimo」などの名称で販売されています。現地で長芋が手に入りにくい場合は、食感の近い根菜類を活用した新しい調理法を考えてみるのもひとつの楽しみです。ただし、食材が変われば火の通る時間や味の染み込み方も変わるため、調理プロセスの調整が必要となります。
もしこの料理をご自身の地域の食卓で紹介するなら、どのような工夫を取り入れてみたいですか?手に入りやすい食材、相性の良い付け合わせ、お好みの味の濃さなどをぜひコメント欄でお聞かせください。次回の薬膳メニュー作りの参考にさせていただきます。
*※服薬中の方や食事制限のある方は、クの実などの原材料がご自身の健康状態に適しているか、事前に専門医や薬剤師にご確認ください。*
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